カメラのしくみ「ピント合わせ」
FTNに付いてきたNIKKOR-S 50mm F1.4は、ゴムシートを買ってきたものの、前面の飾りリングを外すことに成功していない。レンズの分解はあきらめモード。
本体に、電池(LR44)を入れてみたところ、露出計は動いたっぽい。正確かどうかはわからないが、絞りやシャッター速度を変えると連動して動く。気が向いたら、フィルムを入れて撮影してみるとしよう。
カメラのしくみは、その4になった。
ここまでのあらすじは、次のようなものだった。
ピンホールカメラは、針の先ほどの穴を通してやってくる光により、穴の反対側に像を写し出すことができる。しかし、穴が小さいため、光量が足りない。より鮮明な像を得るため、レンズを使う。レンズにより、穴は大きくなり(光量UP)、光を集めることで、解像度を上げることができる。
凸レンズには焦点距離というものがある。焦点距離は無限遠からの並行な光で計算される。10m先のモノからの光は、焦点の合う場所が異なる。記録面とレンズの間を調整することで、モノがはっきり見えるようにする。これがピント合わせ。
参考記事
カメラのしくみ「ピンホールカメラ」
カメラのしくみ「レンズ」
カメラのしくみ「焦点距離とピント」ズームとフォーカス
さて、ここからが本日の話。
ピンホールカメラは、ピント合わせの必要がない。ピンホールと壁の距離を調節することで、写りのよい像を得ることはできるかもしれないが、それはピント合わせとは異なる。ピンホールカメラでは、基本的に全部にピントが合っている。ぼやけた感じになっているのは、穴が大きいから。ピンホールカメラでは、なるべく小さい穴の方が解像度が上がるが、あまりにも小さいとシャッター速度を上げないと光量不足で写らなくなってしまう。ある程度の大きさにしないといけない。
ピンホールカメラは、レイトレーシングに似ている。レイトレーシングはCGで使われるレンダリング手法のひとつ。CGはコンピュータ・グラフィックスね。知っている方も多いとは思うが、簡単に説明すると、コンピュータ内に数値データとして3次元空間を作り出し、ある視点からそのモノをみたらどういう風にみえるか、ということを光線をシミュレーションしながら計算して映像を作り出す、といったもの。
簡単に説明するのは難しいが、光線をシミュレーションというか、トレーシング(追跡)しているっていうこと。
計算なので、視点を計算上の論理値にできる。つまりは、ピンホールカメラの穴を論理上0にできる。数学的にいうと点に大きさはない。
レイトレーシングで作った画像では、ピントがどこにも合っている。まぁ、CGだからね。
CGでもわざとぼかすようなことができる。以下参照
Androidアプリ開発 OpenGL フォグ
ピント合わせが必要なのは、レンズを使った場合。人間の目にもレンズが付いている。ピント合わせは、水晶体を筋肉によって厚くしたり、薄くしたりしてピント合わせをしている。カメラと同じように、近くにピントが合っているときは、遠くの方はぼやけた感じになる。ピントがあっているところのさらに手前もぼけている。
レンズは、光を屈折させることで集めることができる。レンズの形状が変われば屈折の具合も変わる。カメラレンズは形状を変えられないので、記録面との距離でピントを合わせる。どちらの方法でも「限界」はある。ピントが合う距離に制限が生まれる。
普通のレンズなら、無限遠にピントを合わせるのは、無理ではない。ここが焦点距離になっているわけなので。
焦点距離が∞なレンズを作るのは無理だろう。もし、作ったとしてもそれは単なる平べったいガラスになる。レンズとは呼べない。凸レンズというからには、いずれ光が集まる焦点ができる。
逆に、ピントが合う一番近くの距離は、レンズの焦点距離より短くできない。それどころか、焦点距離の10倍は必要。
50mmなら、50cm。35mmなら、35cm。
なんでか?
冷静になればわかる。焦点距離のときの図を逆にして考えばよい。
レンズから記録面と逆方向に焦点距離の位置にモノを置く。ここから発せられている光は、レンズを通ってきても、並行な光線にしかならず、いつまで経っても集まらない。
倍の距離に離してもけっこう向こうに行かないと集まる気配がない。屈折する具合は同じだからね。
寄って撮れるマクロレンズは、それなりに考えられているので、「お高い」っていうことなのである。

Nikon AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G AF-SDXMC40G
- 出版社/メーカー: ニコン
- メディア: エレクトロニクス
AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8Gは、マクロレンズながらリーズナブル。
レンズでは光を集められるが、それには被写体との位置関係を最良の位置にしなければならない(ピント合わせ)、といったデメリットもある。万能ではないのである。
しかし、ボケるということを使って、ピントが合っている被写体を目立つようにしたり、といったテクニックもあるので、カメラレンズの場合はデメリットと考えられていないことが妙な感じというか、何が性能がよいのかわかりにくいことになっている。
カメラレンズには、絞りというしくみもある。絞りを調節することで、このデメリットもある程度は調整することができる。絞りについては、またあとで。
ピント合ってないよ。
次回は、HDR>>
カメラのしくみを最初から読むなら、以下からどうぞ
カメラのしくみ VR 手ぶれ補正機能
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