カメラのしくみ「焦点距離とピント」ズームとフォーカス

レンズの焦点距離付近にフィルムやCCDを置いておけば、像を記録することができる。これが写真になるわけである。しかし、レンズの焦点距離は、無限遠からの並行な光を集めることができる距離としている。より近くにあるモノからの光は、無限遠からの光より、放射状になる関係上どうしても焦点が変わってくる。
フィルムやCCDの記録面をどこに置いておけばよいか、といった問題が発生するのである。
焦点から記録面が外れると、どいうことが起きるかというと、像がぼやけることになる。ピンホールカメラで穴を大きくしてしまったときと同じ。焦点の手前だと光線が集まりきらないので、点が点でなくなる。焦点の奥になっても今度は拡散してしまうので、点ではなくなりぼやけてしまう。

これをちょうどいい位置に調整するのが「ピント合わせ」ということになる。
レンズの焦点距離.png
焦点距離が50mmのレンズは、無限遠からの並行な光が一点に集まる距離が50mmになっている。10m離れたモノの一点から発せられた光を一点に集めるための焦点距離は、微妙に異なってくる。それを調整するのがピント合わせ。
無限遠から50cm手前までのすべてにピントを合わせることはできない。
人間の目は、レンズの形を変えることで、ピント合わせを行うことができる。人間の目は非常に柔軟にできてきるらしい。
カメラのレンズは堅いので形を変えることはできない。そこで、レンズの位置を移動することでピントを合わせる。フォーカスリングをまわすと、レンズが伸びたり、中の玉の位置が変わったりして、ちょうどいいところに記録面がくるように調整する。
レンズの形状は変わらないが、記録面との距離を変えることで、撮りたいもの(被写体)にピントが合うように調整できるようになっているわけである。
無限遠 0.6m
ズームレンズでもズーム用のリングを回すと、レンズが伸びたり、縮んだりする。これは、ピント合わせとはちょっと違う。ズームレンズは焦点距離を変えるのに、一部の玉の位置を移動する。ピント合わせは焦点距離はそのままにして、玉の位置を全体的(場合によっては一部)に、移動する。
ピント合わせ

焦点距離とF値
レンズが大きければそれだけ光が入ってくるようになるので、明るいレンズになる。光量を表現するときに使われるのがF値
紛らわしいことに、焦点距離のことをfと書く場合がある。f=50mmとなっていたら、焦点距離が50mmっていうこと。F2.8といったら光量を意味するF値になる。小文字か大文字で大違いなので注意せねば。
レンズの絞り開放のときのF値は、焦点距離とレンズの直径(有効口径)から計算できる。
F値 = 焦点距離 ÷ 有効口径
焦点距離が50mmのレンズの有効口径が50mmなら、F値は1.0になる。

Nikon 単焦点レンズ AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G ニコンDXフォーマット専用

Nikon 単焦点レンズ AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G ニコンDXフォーマット専用

  • 出版社/メーカー: ニコン
  • メディア: エレクトロニクス

上記のレンズなら、焦点距離が35mmでF値が1.8なので、レンズの有効口径は、
1.8 = 35mm / x
35mm / 1.8 = 19.4...
なので、19.4mmっていうことになる。約2cm、そんなもんか。
F値は、小さい程明るいレンズになる。有効口径は大きくなる。
AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8GとNIKKOR-S 50mm/1.4 を比較してみた。
さすがに、フルサイズのレンズで明るいレンズは、口径が大きい。しかも1.4だし。
50mm / 1.4 = 35.714
DSC_0429.jpg

焦点距離とレンズの長さ
焦点距離が35mmなら、広角レンズになるが、実際のレンズの長さは、35mm以上ある。レンズをマウントする位置から、フィルム面まで35mm以上ありそうなので、どうやっても焦点距離以上の長さになってしまっている。標準ズームは18-55mmなので、広角側にしたらなおさらおかしいことになる。
レンズはいくつかの玉から構成されている。玉は凸レンズであったり、凹レンズであったりする。凸レンズなら屈折により光を集めることができるが、凹レンズなら逆に拡散させることができるのである。
なので、組み合わせることで、いくらでも焦点距離を変えることができる。集めたり、ばらしたりしながら、ちょうどいいくらいの焦点距離のレンズを作るわけである。
昔は、焦点距離が短い広角レンズは平べったいし、焦点距離が長い望遠レンズは長いレンズになっており、わかりやすかった。
長いレンズ.png
短いレンズ.png
今は、レンズの組み合わせをコンピュータで計算して設計できるので、けっこう複雑な玉の構成でもOKになっているらしい。なので、広角レンズなのに長かったり、超望遠なのに、そんなに長くなかったりするそうな。

Nikon 単焦点マイクロレンズ AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G ニコンDXフォーマット専用

Nikon 単焦点マイクロレンズ AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G ニコンDXフォーマット専用

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次回は、Nikomat FTN>>
DSC_1048.JPG

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asai
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システムエンジニア
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